成長支援会計士が教える成長経営のツボ

節税編会社を成長させる「本当の節税」とは(法人決算編③)

2017年08月03日(木)

あなたは、誤った「節税」を行っていませんか?
第3話は「本当の節税」を具体的に解説致します!

① 従業員への決算賞与・インセンティブ(=当期に関する精算)

予定を上回る利益が出るのは、従業員の貢献も少なくないはずです。資金の支出は伴いますが支給方法さえ間違えなければ、きっと効果的な節税になるはずです。(正しく処理すれば、会計上も税金計算上も当期の経費となりますが、お金の支出は来期のはじめ(1か月以内)でも構わないため、当期では現預金を維持した決算が可能です。)

 

お客様によっては、社員旅行やレクレーションの方があるかもしれません。

 

② 不良債権の償却(貸倒処理)(=過去の清算1)

回収できないものを経費にしないで税金を払うのは本当にムダですよね。

しかし、追加の支出なく税金を節約できます!

ただ、税金計算の上では、なんでもかんでも費用処理できるわけではありませんので、回収できない債権の内容に応じて、きっちり手続を踏んで実行しましょう。

 

含み損の先送りをせず、タイムリーに損失処理をするのは強い財務体質を作るために大事なことです。銀行も見ています。

 

③ 不良在庫や含み損のある遊休資産の売却・廃棄(=過去の清算2)

②と同様です。売れない在庫や資産を処理せず税金を払うのはムダですね。

これも追加の支出なく税金を節約できます。売却できれば資金も調達できます。

 

売れない在庫を持ち続けるということは、その在庫の仕入資金は寝たままにするということです。さらに、売れない在庫は、店頭や倉庫のスペースを占領し無駄に家賃負担を発生させ、店頭や倉庫の“新鮮さ”を奪います。

 

このムダを調べて金額換算したこともありますが、本当に“社長さんもびっくり”です。

不良在庫を“費用に落とす”にもコツがあるので、しっかり手続きを実行しましょうね。

 

 

④ 本来は次の年度に予定している経費支出の前倒し(=将来の先取1)

不良資産の処理が片付いたら、“必ずやること”の前倒しを検討し、次に“これからの利益”につながる経費を考えます。

例えば、『消耗品の購入』、『広告宣伝』、『人材採用』などですね。継続して支出するものよりも、一括払いして一括費用処理できるものを優先して考えてみましょう。

ここで大事なことは“費用を増やす”ために、ムダな買い物をしないことですよ!

 

でも、この処理にもルールがあります。ルール違反による追徴課税を税務署も狙っています。

ルール理解してうまく活用しましょう。

 

⑤ 本来は次の年度に予定している設備投資の前倒し(特に税務特例の適用等よって経費(専門的には損金)で処理できるもの)(=将来の先取2)

④は費用でしたが、⑤は“資産”です。

多額の利益が見込める場合の節税策としては、一時で経費に落ちない場合でも、“資産の購入”を検討すべきでしょう。

 

ただし、資産の購入は、投資の効果、資金のバランス(自己資金か借入か、購入後の資金残高への影響はどうか)、その後の維持費(固定費・保守費や固定資産税等)を検討して決定することが必要です。大物の購入を検討するのであれば、できれば5年程度の中期経営計画を立案し、事業全体のバランスを考えて投資を判断することをおすすめいたします。

 

くれぐれも、あわてて不要なものや不良資産をつかまないように注意しましょう。

 

⑥ 倒産防止共済の加入(=将来への備え1)

制度の名前ぐらいは耳にされたことがありますよね?

中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度です。

中小企業基盤整備機構(国の政策に従って中小企業施策を行う独立行政法人)が運営しています。

 

払った掛金は全額経費になるうえ(ただし、掛金・積立額に上限あり)、任意解約しても30か月継続で90%、40か月継続では100%掛金が返ってきます。

もちろん、共済制度本来のしくみとして、取引先の倒産によって売掛金が回収困難となった場合には最高8,000万円までの共済金の貸付が受けられる(加入後6か月以上等の条件あり)制度も魅力です。

 

正直、「百利あって害は殆どない」ので、短期の資金繰りに窮しているのでなければ、活用しない理由はない制度です。

ちなみに、この制度の存在を顧問先に紹介しなかったため、クレームになって解約になった会計事務所があるというウワサを聞いたことがあります(笑)。

 

⑦ 生命保険契約の活用(本質、活用法を理解すれば、経営上重要な道具であることは確かです)(=将来への備え2)

法人で活用される生命保険の多くは、支払額の半分を経費処理を行った上、将来契約を解約した場合に相当額の返金を受けることができるタイプのものです。

加入解約の時期すなわち損益を計上する時期、金額規模をある程度お客様がコントロールできるという意味で、税金のコントロールと相性がいい金融商品(道具)といえるでしょう。

 

いわゆる経営者保険や従業員の福利厚生のための養老保険やがん保険など多様な保険がありますし、多様な加入の方法があります(改めて別項に解説させて頂きます)。うまく使えば、損益と資金のバランスを効果的に管理するのに役立つので経営を安定させたり健全な財務体質を作る道具として使えます。

でも、使い方を間違うとまったく逆の結論になってしまうので本当に要注意なのですが。。。

 

是非、生命保険契約は正しい知識で正しく使って節税に賢く活用しましょう。

 

⑧ “ちゃんとした”申告をする(=現状における最善)

当然ですが、最後はちゃんとした申告ですよ(笑)

 

“ちゃんとした”申告とは、①から⑦の節税策の実施を受けて迎えた決算の状況で、使える様々な税金計算の特例をもれなく適用して過不足ない税金の申告をするということです。場合によっては、その前提として決算を迎える前に税務署に届出や申請の提出が必要な場合もあります。

 

誰がやっても同じ『申告=税金』というのは昔の話かもしれません。

 

複雑な税制をしっかり検討・適用することは、税理士にとってもたやすいことではありません。

さらに税理士が、“ちゃんとした”申告を行うにはお客様の状況の理解が不可欠です。ですから、“ちゃんとした”申告には、お客様と会計事務所のコミュニケーション、信頼関係がとても大事だと思います。

 

だからこそ、「本当の節税」のしめくくりは、お客様と税理士が協力して“ちゃんとした”申告なんです。

 

 

 

いずれにしても経営のための実需がないものは、支払う税金を一時的に減らすことができたとしても、“ムダづかい”に終わってしまうことも多いので“NG”です。

また、実需がある場合でも、税金を“ゼロ”にすることを目的に実施することは、多くの場合バランスを失することが多いので、会社の利益水準、資金バランス、財務比率等を考えた対策を行いましょう。

 

さあ、「本当の節税」であなたの会社をどんどん強くしましょう!

 

青山パートナーズでは、顧問先はもちろん、スポットのご相談でも「本当の節税」をアドバイスさせて頂きます。

どうぞお気軽にご相談下さい。

 

 

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