経営書エスキモーに氷を売る
青山パートナーズ 第3回献本経営書
エスキモーに氷を売る―魅力のない商品を、いかにセールスするか
著者:ジョン・スポールストラ 訳:中道暁子(きこ書房刊)
【この一冊にひとこと】
わかりやすい読み物ベースのマーケティングの本です。
“押し売り”のハウツーではありません(笑)
タイトルからは、内容が若干つかみづらいですが、“どんな分野のどの商品にも、またどの企業にも適用できる”と筆者ジョン・スポールストラが考える“ジャンプ・スタート・マーケティング”のテクニックを、自分が関ったプロスポーツチームのマーケティングの例を使って解説した本です。
肩苦しくないのがいいですね。
売上の伸び悩むベンチャー経営者にもいいヒントになると思います。
意外にネット系のビジネスにはとても参考になるんじゃないでしょうか。
いいもの、いいサービスを一途に目指すあまり、自己本位の視点に陥ることも少なくありません。
どんなに性能や品質がよい商品でも売り方一つで結果がでないことも少なくありません。結果がでないと、どうやったら売れるのかを考えるの忘れ、売れない理由見つけに陥りがちです。
日常の業務処理に多忙であればなおさらです。
「どのように売ろうか考えることを忘れていませんか?」
「自社の商品やサービスをどのように売ろうかチョット角度を変えて考えてみてはいかがですか?」
そんなメッセージを送りたくてクライアントに、この一冊をお薦めしました。
事例が、スポーツビジネスということで、読者が自分の事業との対比を行うことが若干難しい部分もありますが、よく考えてみると、どの原則も、筆者が意図したように、広くヒントになるものです。
各章末には、これらの原則が、スポーツビジネスに限らず一般性があることを前提としたセルフチェックテストが設定されています。
会社が成長していないときは、ジャンプ・スタート・マーケティングを使うかリストラするしかないが、もちろん前者の方が効果的で楽しいと述べ、実例を使って、17の原則を披露しています。
-
第1の原則は、“自分が誰か見誤るな”(商品には、あってはまずいところに欠点があるもの)。
-
第2の原則は、“顧客の購入頻度を高めよ”(顧客一人ひとりに、もう少し買ってくれるよう直接頼む)。
- 第3の原則は、“自分の商品のエンドユーザーの名前と住所を入手せよ”(顧客が買おうと思い立つ少し前に、アプローチする)…
-
第10の原則“自社の商品に関心をもってくれる人だけをターゲットにせよ”…
- 第13の原則“社内のスーパースターがやる気をなくす要素を排除せよ”(「わが社ではいつもそうやってきた」は、何かが間違っている最初の警告)…
だんだんハマってきませんか?
この一冊を読みながら、自社のマーケティングについて考えてみてはどうでしょう。
(税理士法人青山パートナーズ 統括代表社員・公認会計士・税理士 馳 雅樹)
目次
第1章 | 商品には、あってはまずいところに欠点があるもの |
---|---|
第2章 | 顧客一人ひとりに、もう少し買ってくれるように直接頼む |
第3章 | 顧客が買おうと思い立つ少し前に、アプローチする |
第4章 | 少額だが、非常に目につくお金をクレージーなアイディアに使う |
第5章 | ミスにボーナスを出す |
第6章 | 自社の商品が、われわれを救うことはない |
第7章 | 「テロリスト・グループ」をつくり、状況を変える |
第8章 | 顧客が買いたがる商品だけ売る、少しだけ多く売る |
第9章 | エド・ゲルスソープのルール |
第10章 | 一つだけのセグメントへのマーケティング |
第11章 | リサーチにだまされない |
第12章 | クライアントをヒーローにする |
第13章 | 「わが社ではいつもそうやってきた」は、何かが間違っている最初の警告 |
第14章 | 買わずにいられない商品をつくる |
第15章 | どうすれば、バックルームを顧客のための部署にできるか |
第16章 | すてる顧客を選べ |
第17章 | 六〇万ドルと三万二〇〇〇ドル、どっちを選ぶ? |